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【レビュー】戦場に舞ったビラ 伝単で読み直す太平洋戦争

先日読んだ本を紹介する。

戦場に舞ったビラ 伝単で読み直す太平洋戦争 (講談社選書メチエ)

Kindle版で読んだ。

伝単というのは、戦時に敵国の人々に向けて撒くビラのことである。戦意を喪失させたり、印象操作をしたり、煽ったり、投降を呼びかけたりするために作られ、飛行機などでばら撒かれる。「紙の爆弾」と呼ばれることもある。

本書は、日中戦争および太平洋戦争中の伝単をテーマにした本である。
どうしても、伝単というと、ブラックユーモアの効いたイラストであったり、美味しそうな食べ物の写真や一見紙幣に見えるデザインの物であったりと、インパクト重視のものばかりが有名になってしまう。本書は、そういった「クオリティの高い」伝単を紹介するコレクション的な内容に終わらず、戦後に書かれた手記などからわかる「伝単を拾った人の反応」と、伝単からうかがい知ることができる日米両国の「敵国」のイメージを丁寧に解説しているのがポイントだ。 続きを読む

【レビュー】オービタル・クラウド

「オービタル・クラウド」が文庫化 (当然Kindle版もあるよ!) されたので、簡単なレビューを書いて推しておく。

私が読んだのはオリジナルの方。文庫化にあたり、物語の設定も含めて色々書き換えられているらしい。

とのこと。気になるので、今度の週末に文庫版も読もうかな。

どんな物語か?

「オービタル・クラウド」は、実にエンターテインメントらしいSF小説である。コワーキングスペースで働くエンジニア、アマチュア天文家、学者、軍、国家機関、様々な立場の人々がそれぞれの立場と能力を生かしながら、とある「宇宙空間の危機」に立ち向かうという壮大なお話である。主人公は、宇宙ニュースサイトを運営する日本人プログラマ。衛星の軌道計算が得意だ。天文ショーや宇宙機の大気圏再突入など、宇宙で「祭」が起こるたびに、ちょっと儲かる。 続きを読む

DQX 2.4のラスボスを倒してきた 〜 運命のヒーローと自由な護衛者の物語 〜

ドラクエXを、かなりゆっくりなペースでやっている。ネトゲというとどうしても忙しそうなイメージがあったのだが、DQXは気が向いた時にのんびりプレイできる。
のんびりしすぎていたら、そろそろ新編がリリースされるということなので、ちょっと頑張ってVersion 2のメインシナリオのラスボスを倒してきた。
そのサブタイトル「眠れる勇者と導きの盟友」の通り、Version 2の物語は、「勇者」であるアンルシア姫と、その「盟友」である主人公のを中心として進む。その「勇者」と「盟友」の描き方が非常に面白かった。 続きを読む

「ハッカソンの作り方」を読んだよ!

「ハッカソンの作り方」を、著者の大内孝子さんからいただいた。

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この本の執筆の際、私が立ち上げ・運営に関わってきた100均ハッカソン「ヒャッカソン」についても取材していただいた。 この間取材を受けたと思ったらもう本が出来ていてびっくり。
また、私が先日書いたエントリ「最近の『ハッカソン』について」にも言及がある。

本書は、主にハッカソン開催側に向けた内容となっている。
コアなgeek層が積み重ねてきた、hacker文化の色濃いハッカソンの歴史を踏まえつつも、本書の主眼は企業や団体が主体となって開催する「いまどきの」ハッカソンだ。その中でも、ハードウェア系・Maker系ハッカソンにはかなり重点を置いている。多くのハッカソンを取材し、主催者へのインタビューを行って生の声を拾い、それらへの鋭い分析を加えた良書だ。 続きを読む

初心者が潜水艦映画を9連発で観たよ

潜水艦映画を9本連続で借りて観てみた。潜水艦映画は面白い、潜水艦映画にハズレ無しいう話はよく聞くし、最近海軍関係の本を何冊か読んで海中の世界というものに興味を持った。正直言うと艦これにハマってどうのこうのという理由も全くないわけではないわけだが……。

観た9本はどれも面白かったので、今日は1本ずつ軽く紹介しようと思う。決定的なネタバレは無いのでご安心を。

今日の目次

  • 潜水艦映画の魅力
  • 系統別おすすめ作品
  • 作品紹介
    • Uボート
    • 深く静かに潜行せよ
    • 眼下の敵
    • 潜水艦イ-57 降伏せず
    • U-571
    • レッド・オクトーバーを追え
    • クリムゾン・タイド
    • ローレライ
    • イン・ザ・ネイビー
  • 潜水艦映画を観る前の簡単な予習

潜水艦映画の魅力

作品それぞれの魅力はもちろんあるのだが、潜水艦映画というジャンルそのものには共通の魅力がある。ポイントはこんなところだ。

無言の交流 : 潜水艦は、外界との接触が限られている。味方なら最低限の通信しかできない。通信トラブルはもはやお約束。敵ならばソナーと魚雷で語り合う。限られた情報から相手の思惑や人物像を思い浮かべて行動するわけなので、感情のほとばしる会話もなく、奥の深い心理描写が魅力となる。戦闘シーンでは、見えない敵同士、思惑を読み合いながらの知的ゲームが一手一手進んでいく。「眼下の敵」と「レッド・オクトーバーを追え」は、特にそういう表現が秀逸だった。 続きを読む