「本郷給水所公苑」という場所がある。本郷三丁目駅・御茶の水駅・水道橋駅のちょうど重心のあたり、外堀通りから北に一本入ったところだ。
外観。コンクリートの無骨な擁壁の上に何かがあるようだが、何があるのかは全く想像がつかない。この上に広がっているのが、(物理的に) 隠れた名所、巨大なタンクの上の人工地盤に作られた「本郷給水所公苑」なのである。緩やかなスロープを登りきるとそこには美しく整備されたバラ園が広がっている。
シーズンは5月と10月の年2回。バラの咲いていない時期も、花壇の芝生は綺麗に管理されており、端正な庭園を楽しむことができる。
中央は小さな和風の庭園。木橋の周囲には、どの季節に行っても楽しめるよう様々な樹種が揃っている。
濁った池だが、よく目を凝らすとオタマジャクシやザリガニ、小さな魚などがいっぱい。特に春から夏にかけてのザリガニ釣りシーズンは小さな釣り人たちで賑わう。糸とエサ (するめがおすすめ) があれば簡単にザリガニ釣りが楽しめる。網もあると釣り上げるときにザリガニを落としにくい。たまに鷺が遊びに来たりする。
そして、バラ園の反対側は気持ちよく散歩できるせせらぎエリアが広がっている。
秋から冬にかけては水の流れが止まる。春になるとカエルの卵が孵っておたまじゃくしでいっぱいになり、網とバケツを持った親子で賑わう。
さらに、庭園の東の端には神田上水の石樋が移され、江戸の上水道の様子を伝えている。
こんな具合に、面積としてはさほど広くない人工地盤上に、バラ園、和風庭園、小川の流れる林、遺跡といったエリアが配置されているのだ。
バラ園にある大きな地球儀は実際に回せる。大人も子供もついつい回したくなってしまうらしく、休日に遊びに行くとたいてい回り続けている。
ここでPokemo GOを起動。この地球儀、ポケストップになっているので、画面上でも回せる。
普通の公園のようなエリアもあり、バラ園の隣にはすべり台、ブランコ、砂場がある。
建築好き、構造好きな人にもちょっと嬉しいところがある。後ろに見えるのは、日本ではかなりレアなノーマン・フォスター設計のセンチュリータワー。現在、順天堂大学が入っている。本郷給水所公苑はちょうど良い鑑賞ポイントになっている。
隣は東京都水道歴史館。入場無料。こぢんまりとした博物館だが、日本の上水の歴史をざっくり知ることができる。
江戸時代のを再現したコーナーもある。
1Fのエントランス付近に玉川兄弟の顔ハメパネルがある。有名な銅像をそのまま絵にしたものだが、ちょうど親子で撮りやすい配置になっており大人気。
本郷給水所公苑と東京都水道歴史館、面積は小さいながらも見どころたっぷりで良く手入れされた素敵な空間である。
特に親子連れには大人気。子供が喜ぶ要素が盛りだくさんで、かわいい写真を残せる撮影スポットも豊富だ。また、階段やスロープを通らなければ道路に出られない構造になっているため、道路に飛び出す危険性がなく幼児を安心して遊ばせることができる。水辺の生物や多種多様な植物も見られるので教育的価値も高い。
天気の良い日は老若男女が散歩を楽しみ、花の綺麗な時期にはカメラを持った人の姿も見られる。天気のいい休日に本を一冊持って行ってのんびりするのもちょうど良い。
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