多摩川沿いで行われた化石発掘体験に6歳児と一緒に参加したら、ちょっと面白いものを掘り出してしまった。
鳥類の骨の化石のようなものである。
化石発掘体験イベントはギフテ! というサイトで見つけた「幻の河原で古代生物を掘り出す! 化石ハンター体験」というプログラム。化石掘り・釣り・野食・サバイバルといった、ワイルド志向の子供 (と大人) が喜びそうなプログラムが揃っている。
私は化石掘り自体は初めてではなく、別の場所に家族で掘りにいったことがあるのだが、自己流でやらずに一度ちゃんと教えてもらったほうがいいだろうということで参加してみた。
連光寺層
まず、発掘地点を紹介しよう。東京都日野市の多摩川沿い、中央線立川駅から多摩モノレールに乗って2駅の甲州街道駅から歩いて10分くらい、立日橋のちょっと西の南岸だ。
この橋の下をくぐってちょっと先の地点。妙になめらかな土が見えている箇所がある。

- 参考 : 多摩川の地層|上総層群連光寺層
冬期以外は多摩川の水量が多くなって川底に沈んでしまうため、発掘が掘れるのは冬季限定だ。化石好きの人にはけっこう有名な所らしい。近くで釣りをしている人の姿もあった。
地質学的には「連光寺層」という、130万〜150万年前の地層であり、上総層群と呼ばれる層の一部である。当時、このあたりは穏やかな海辺だったようで、堆積したシルトの層の中から海洋生物の化石がざくざく出てくる。メインは二枚貝と巻き貝だ。
ここは、初心者や子供が掘っても、二枚貝などを掘り出すことができる。こちらは、子供が掘り出した貝の化石。


ヘラで適当に剥がしただけでこれである。
化石発掘の上手い人は、大きなアカガイやアカニシガイの化石をまるごと掘り出せるらしい。剥がした土からちょっとだけ覗く大ぶりな貝殻の端っこを見分けられるらしい。「これは大きめの化石が埋まっているな」と思ったら、マージンをとって周囲の土をカッターナイフなどで切り、しっかりアイソレーションして土の塊を取り出す。そこから丁寧に周りの土を除去すると、大きめの化石を破壊せずにゲットできるとのこと。
植物化石や魚類が出ることもあるらしい。よく観察すれば、巣穴の痕跡なども見つかり、当時の海辺の様子が伝わってくる。

化石発掘は運と観察眼と知識、そして試行回数の掛け算。
鳥の骨が出てきた
鳥の骨が出てきたのは、大量の水を含んでだいぶ柔らかくなった場所で、礫も混じっている。砕けた貝の破片がたくさん出てくる中、ちょっと変わった形の物体が出てきた。貝ではないし、植物でもないし、石とも違う。なんか気になるので大事にとっておいた。
先生に鑑定していただいたところ……
「鳥類ですね! 骨の中身がスカスカになっているのが鳥の特徴」
まさかの鳥類である。レア物らしい。大事に持って帰る。乾かしてみると、中身の空洞構造がはっきりとわかる。
観察する
Twitter (現X) で見せびらかしたところ、恐竜の専門家の方からコメントをいただく。
胸骨はわかるけど、烏口骨とはなんぞや?
ちょっと調べてみる。「うこうこつ」と読む。胸骨・鎖骨・肩甲骨をつなぐ重要ポイントである。
現生の鳥類のそれと比較してみたくなったので、参考資料としてアイガモを焼いて美味しくいただいた。

今までさんざん鳥を食べてきたものの、鳥類の「骨」に真面目に向き合うのは人生で初めてかもしれない。食べ終わったカモの胸のあたりを丁寧にバラしていくと、一枚板になった大きな胸骨と、わかりやすい鎖骨があり、そこに接続する烏口骨が見つかった。
かなり特徴的な形をしている。左の大きいほうが美味しくいただいたアイガモ、右の小さいほうが化石。下のイチョウの葉のように広がっている部分は胸骨に接続していつ箇所なのだが、化石ではその両端が欠けている。


アイガモと比較してみると、けっこう小ぶりだ。
ちなみにこのあたりでは2009年にも鳥類化石が出たことがある。
多摩川沿いは化石がいっぱい
今回の地点以外にも、多摩川沿いにはいくつか化石発掘スポットがある。
たとえば、ちょっと下流の狛江付近。小田急線の和泉多摩川駅が最寄りで、こちらはオールシーズン発掘可能だ。現地の地図を見ると「化石島」と書かれている。島、つまり中州である。浅い川を渡る必要もあるので、安全のためにライフジャケットがあったほうがいいかな。
ちなみに、いま国立科学博物館で開催中の「大絶滅展」の目玉となっている海洋哺乳類・ステラーダイカイギュウの全身化石は、この付近から出てきた。

ぬいぐるみがかわいい!
こちらは、5年前に掘り出した、二枚貝を真っ二つに切ったような化石。生物そのものではなく、埋まっていた貝が何らかの理由で離脱したところに別のタイプの泥が詰まって固まった「印象化石」というやつかもしれない。埋まった状態だと左右対称のハート型のように見える。


このあたりの地層は、上流の連光寺層と比べると「ざくざく出てくる」というわけではないので、ある程度の運と勘と根気が要る。河川敷が広く、遊び場もあるので、子供連れで行く場合は化石が出なかったときの保険として何か遊び道具を持って行くのがおすすめ。
ちなみに、近くにいくつかの古墳もある。狛江古墳群というらしい。
また、上流の昭島市ではのちに「アキシマクジラ」と名付けられるクジラが出ていて、地元のマスコットとして愛されている。
メモ
最後に、化石掘りについて、ちょっとメモ。
- 発掘時はときどき場所を変えるのも大事。数メートル動くだけで、出てくる内容が変わってくる。大勢で掘っていると、この場所では植物が出る、こっちは巻き貝が多いとか、情報交換しながら発掘できる。
- いきなり水洗いするのはやめよう。脆いものは水でもダメージを受ける。
- 乾ききった地面は、掘ったときに化石を破壊しやすい。一方、水を含んでプリン状になっているところは表面がぐちゃぐちゃして目視がとても難しい 。今回の「鳥類の骨」も危うくスルーするところだった。ちょっと湿っているくらいのところがおすすめ。割りやすさと目視のしやすさのバランスが良い。
- 良さげなモノを見つけたら掘り出す前に写真を撮っておいたほうがいい。軍手を装備してしまうとスマホやカメラの操作がやりにくくなるんだけどね。
- 持ち帰った標本にはちゃんと地点と日時をつけて保存!








