OpenStreetMapで日本のキャッシュレス決済手段をタグ付けしやすくなった

Pocket

OpenStreetMapでは、店舗や自動販売機に決済手段をタグ付けすることができる。

国際的なクレジットカードブランドなどは既存のプリセットに含まれていたが、ICカードやスマホ決済などの比較的新しい決済手段や、特定の国や地域でしか使われていない決済手段などはドキュメント化されていないものも多い。OpenStreetMapでは、一応、「定義されていなくても勝手にタグ付けしちゃっていい」ということになっているのだが、それだとマッパーがそれぞれのやり方でタグ付けし、データの形式がバラバラになってしまう。

お店の前に貼られたたくさんの支払い方法ステッカー

そこで今月、「日本で使われている比較的新しいキャッシュレス決済手段のタグ付方法を定義しよう」と呼びかけ、マッパーの方々からご意見をいろいろいただき、ひとまずWikiの「JA:Key:payment」に定義を記述することができた。その経緯は JA talk:Key:payment の通り。日本国内でのシェアや、OpenStreetMapで既にタグ付けされている状態などを考慮し、以下の11サービスを記載した。

  • PayPay
  • nanaco
  • WAON
  • iD
  • Edy
  • QUICPay
  • LINE Pay
  • メルペイ
  • d払い
  • 楽天ペイ
  • au PAY

また、マッピングしやすくなるよう、JOSMのプリセットも作ってリリースした。JOSMのプリセット管理画面から追加できる。

利用可能なプリセット一覧

内容はこんな感じ。

プリセット「日本の決済手段」

OSMでのマッピングとデータ利用には常に「マッピングが先か、データ利用が先か」という悩みがつきまとう。マッパーは「こんな情報を頑張ってタグ付けして、果たして役に立つのだろうか」と思うこともあるし、マッピングが進まないうちはスカスカすぎてデータが活用されない。しかし、マッパーの努力により特定の地域だけでもデータが充実すれば、「このデータを使ってみよう」というデータ利用の動きを促され、いろいろな地理情報アプリやサービスにデータが反映されるようになる。そしてデータ利用の広がりがマッパーのモチベーションを上げ、ますますデータが活用されるようになり……と、良いサイクルができていく。

キャッシュレス派の人にとって、決済手段は店選びでも重要になる情報だ。また、2020年に始まり今も続くコロナ禍で、キャッシュレス決済は感染対策として重要視されている。OpenStreetMapでどんどんタグ付けされ、活用されていくと良いと思う。現地調査の際はぜひともお店の前の「○○Pay使えます」のステッカーをチェックし、タグ付けしてほしい。

Pocket