ToriSat改めSpaceStationARが大型アップデート – コーヒーサーバは香炉である

今年秋、衛星ウォッチング支援ARアプリToriSatのバージョン2.0をリリースし、その後Apple Watchに対応したりTodayウィジェットを追加したりと、Android版・iOS版ともにけっこう大きなアップデートを行った。名前もSpaceStationARに改名した。ちょっと機能がわかりやすいネーミングになったと思う。

SpaceStationAR

主な変更点は

オフライン軌道計算
通知の強化
無料版を新たにリリース
イリジウムフレアに対応
Apple Watch対応
Todayウィジェットの追加
その他UIの大幅改良

通信・軌道計算まわりは抜本的に作り直して、ネットにつながらなくても計算するようになった。通信を行わないぶん、表示も速い。通知機能も強化し、今では天候によらず届くようになり、何時間前に通知するかも指定できるようになった。さらに直前 (見えはじめの1分前) にも通知が届くので、見逃しがなくなるはず。

そして、ISSやハッブル宇宙望遠鏡などのに加え、衛星ウォッチャー待望のイリジウムフレアを新たにサポートした。詳しくは後述。

LITE版が登場!

今回のアップデートに合わせて、無料のLITE版も登場した。LITE版は広告バナーが出る。イリジウムフレアは表示できないけれど、それ以外は今までのToriSatと同等の機能が使えるようになっている。

こちらが通常版。

こちらがLITE版。

衛星ウォッチングが初めてという方に、「衛星を見ても面白いかどうかわからないのに、いきなり有料アプリを買うのはちょっと……」という不安があったと思う。衛星ウォッチングというのは、宇宙関係の趣味の中でも比較的簡単に始められる類だと思う。シーズンによらず見るチャンスはたくさんあるし、特別な装備もいらないし、明るいので遠征不要、都心でも見られる。しかも日没後に見えやすくなるという性質上、「帰り道にちょっと見ていくか」「ちょっとベランダに出て見てみよう」というお手軽さ。誰でも直感的に使えるアプリが無料で配布されてたらもっと流行ってくれるかなぁ、と思っている。

そして、撮影にチャレンジしたり、フルバージョンにアップデートしてイリジウムフレアを堪能したりと、その先にはディープな世界が待っている。

イリジウムフレアを見よう

今回、有料版で使えるようになったイリジウムフレアについてちょっと説明。
イリジウムフレアというのは、イリジウム衛星 (通信衛星) のアンテナが明るく光るのが見える現象である。数分間持続するISSなどの可視パスとは違い、空に突然現れ、数秒〜数十秒後に急に明るさが増してそのまま去っていくという現象だ。

イリジウムフレアは、観測地点によって見え方が大きく異なる。最も明るく見える地点のことをフレアセンターと呼び、そこから観測すると-8.4等級というなかなかとんでもない明るさで見える(ちなみに、金星が最も明るく見える場合や、最も良い条件でISSが見える場合がだいたい-4.7等級)。そこから10km離れると最も明るくて-4等級程度になってしまったりと、けっこう観測条件がシビアだ。