このあいだ地図を扱う仕事をしていたところ、「ニューオーリンズは緯度経度が凄い」ということに気づいた。北緯30°、西経90°、大変キリが良い。
何かの話のタネにはなるかもしれないが、もっと凄いところがあるぞというツッコミを頂いてしまっては悔しい。そんな思いつきと好奇心で、緯度軽度が5の倍数の格子点にある、そこそこの規模の都市を探してみることにする。
Natural Earthから都市データをダウンロードしてQGISにつっこんでみる。“urban area” という、人口集中地域を線で囲んだデータレイヤーがあるので、そこに含まれる緯度軽度が5の倍数の格子点を抽出してみた。
こちらが、海岸線と国境、5°刻みの緯度経度と “urban area” を表示した状態だ。
この格子点のうち、 urban areaに含まれるものを抽出するといいだろう、ということで、格子点のレイヤをurban areaレイヤでClipする。
それだとけっこう判定が厳しい。かなり良い線いってるはずのサンクトペテルブルクなどは、格子点がぎりぎり水域に当たるので該当しなくなってしまう。これくらいはオマケしてもいい。
そこでちょっと基準をユルくしてみた。”urban areas” というレイヤから都市一覧をCSVを出力して
簡単なプログラムを書いて、中心地 (庁舎の所在地など) と最寄りの格子点からの距離が20km以内、なおかつ人口10万人以上の都市を抽出してみた。この基準だと、中心地から離れた場所まで広がっているような都市が除外されてしまうが、そこはしょうがないということで。
地図に表示するとこんな感じ。
これらをGoogle Mapsの航空写真レイヤなどと照らし合わせて、実際に格子点が市街地に近いかどうかを目視でチェックしたところ、「これは格子点の都市だね」と言えそうな所は以下の通り。格子点の位置が「海上」になっているものは陸地に近ければOK、「郊外」になっているものも市街からのアクセスがよさそうならOKとした。
名称 | 日本語表記 | 国 | 中心地緯度 | 中心地経度 | 格子点緯度 | 格子点経度 | 格子点–中心地距離 | 格子点の位置 |
New Orleans | ニューオーリンズ | United States | 29.996948 | -90.041913 | 30 | -90 | 4.05 | 都市 |
Southaven | サウスヘイブン (メンフィス付近) | United States | 34.968911 | -90.003458 | 35 | -90 | 3.47 | 都市 |
Philadelphia | フィラデルフィア | United States | 40.001919 | -75.171942 | 40 | -75 | 14.65 | 都市 |
Punta del Este | プンタ・デル・エステ | Uruguay | -34.969973 | -54.94999 | -35 | -55 | 5.65 | 海上 |
Castello | カステリョン・デ・ラ・プラナ | Kingdom of Spain | 39.970414 | -0.050008 | 40 | 0 | 5.38 | 郊外 |
Kraków | クラクフ | Poland | 50.061925 | 19.958066 | 50 | 20 | 7.51 | 郊外 |
St. Petersburg | サンクトペテルブルク | Russia | 59.94096 | 30.314074 | 60 | 30 | 18.67 | 海上 |
Rạch Giá | ラックザー | Vietnam | 10.015395 | 105.091353 | 10 | 105 | 10.15 | 海上 |
Fuyang | 杭州市富陽区 | China | 30.055279 | 119.949999 | 30 | 120 | 7.81 | 都市 |
人口、知名度、緯度経度が30の倍数……などなどを考慮すると、ニューオーリンズがいちばんすごい。